慢性疲労症候群

慢性疲労は正式名称を「慢性疲労症候群」といい、身体診断や臨床検査で客観的な異常が認められない状態で、日常生活に支障が出るほどの重度の疲労感が長期間続く状態を指します。

 

厚生労働省では慢性疲労症候群を以下の状態に当てはまることを定義しています。

 

●必須項目➡以下の2つは必ず満たしていなければ、慢性疲労症候群と認められません。

 

①生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヶ月以上の期間持続ないし再発を繰り返すこと。

 

②慢性疲労の原因と考えられるような疾病を除外すること。

 

以下の症状のうち8つが6ヶ月以上にわたり持続または繰り返し生じている。

 

1.微熱(脇下温32.2度~38.3度)ないし悪寒

 

2.咽頭痛

 

3.頚部あるいは脇窩リンパ節の腫張

 

4.原因不明の筋力低下

 

5.筋肉痛ないし不快感

 

6.軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感

 

7.頭痛

 

8.腫張や発赤を伴わない移動性関節痛

 

9.精神神経症状(いずれか1つ以上)羞明、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、思考力低下、集中力低下、抑うつ

 

10.睡眠障害(過眠、不眠)

 

11.発症時、主たる症状が数時間から数日の間に発現。

 

または上記の症状が2つ当てはまる場合。

 

1.微熱

 

2.非浸出性咽頭炎

 

3.リンパ節の腫大(頚部、脇窩リンパ節)

 

6ヶ月間これらの症状が見られていた場合には慢性疲労症候群の可能性があると考えられます。

原因①ストレス

慢性疲労症候群の原因は諸説ありますが、いくつかの研究によると精神的及び肉体的なストレスが関係していると考えられます。

 

また慢性疲労症候群になりやすい人の特徴として「几帳面な人」、「真面目な人」、「正義感が強い人」が挙げられています。

原因②呼吸機能の低下と自律神経の乱れ

慢性疲労の原因として2つめに考えられるのは「呼吸機能の低下」です。

 

呼吸時に働く筋肉のうち、約80パーセントを担うのが横隔膜と言われています。

 

しかし現代人の多くはこの横隔膜の機能が低下していると言われています。

 

呼吸時に横隔膜が動かないと、「首や肩、背中の筋肉」を使って肋骨を動かすように呼吸をするようになります。

 

その結果、身体が慢性的な緊張状態になり、身体の機能を調節する自律神経のバランスが乱れます。

自律神経とは生命活動を司る神経系であり、

 

・活動モードの交感神経

 

・休息モードの副交感神経

 

があり、その時々の身体活動に合わせてバランスを調節することによって体の様々な機能を支えています。

 

しかし呼吸機能の低下によって身体が緊張状態から抜け出せずにいると、睡眠などの休息時になかなか副交感神経が働かない「交感神経優位」の状態が続いてしまいます。

 

 

そのため

 

・身体の疲労がなかなか取れず、常に倦怠感を感じる。

 

・睡眠が浅くなり、夜中に何度も目が覚める、またはいくら寝ても寝たりない。

 

・ストレスを感じやすくなったり、周りの刺激に過敏になる。

 

・消化液が適切に分泌されず、胃腸の消化吸収能力が低下する。

 

などの症状が現れやすくなります。

 

こうした状態が長く続くことで、慢性疲労症候群の原因になると考えられます。

原因③猫背などの不良姿勢

呼吸機能の低下や自律神経の乱れとも関連しているのですが、「猫背」に代表される不良姿勢も慢性疲労症候群を引き起こす大きな要因と考えられます。

 

自律神経のうちの交感神経は後縦隔(こうじゅうかく)と言って胸郭(肋骨、鎖骨、胸椎からなる胸部の骨格)の後方の空間を通っています。

 

猫背姿勢になると胸椎(きょうつい:背骨の胸部分)がフラットになり、肋骨が前方に突き出ることで胸郭後面部分の後縦隔が圧迫されてします。

このような状態になるとその中にある交感神経は圧迫され、常に刺激された状態になります。

 

本来は必要に応じて交感神経と副交感神経のスイッチを切り替えることが重要なのですが、猫背姿勢ですとこの切り替えがうまくできなくなります。

 

その結果、常に交感神経優位の状態が続き、上記でご紹介したような身体の不調が出やすくなります。

原因③食生活の乱れによる栄養不足

食生活の乱れによる栄養不足も疲労を招く大きな原因と考えられます。

 

朝食を摂らないと体時計の働きを司る「時計遺伝子」がうまく機能しなくなり、1日の始まりに身体がエネルギー創り出しにくくなります。

 

また、「パンやおにぎりだけ」「ラーメンやそば」のような炭水化物中心の食生活を続けていると、神経伝達物質の材料になるたんぱく質や代謝を助けるビタミン、ミネラルが不足しがちになります。

 

 

朝食を含めて1日3食、ごはんやパンなどの炭水化物に加え、肉や魚などのたんぱく質、野菜や海藻類などに含まれるビタミンやミネラルなど、バランスよく栄養素を摂ることで、身体のエネルギーを創り出し、疲労回復や血圧の安定など体調の改善にも繋がります。

その他の病気が潜んでいることもある

慢性疲労症候群は様々な症状があるため、今出ている症状が必ずしも慢性疲労症候群によるものとは限らないことも考えられます。

 

慢性疲労症候群と症状が似ている病気としては悪性腫瘍、自己免疫疾患、急性・慢性細菌感染症、HIV感染症、慢性炎症性疾患、神経筋疾患、内分泌疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患、うつ病などがあります。

 

そのため「ひょっとしたら慢性疲労症候群かな?」と思った場合でも、自己診断はせず、まずは医療機関での受診をする事が重要です。